グラミン銀行でのインターンシップ

Class of 2015の山本です。私はインターンシップ先のひとつにバングラディシュのグラミン銀行を選びました。今回はバルセロナのIESE生活から少し離れて、私のインターンシップ経験について筆を執らせて頂きます。

 

同行はマイクロクレジットと呼ばれる貧困層への少額融資を行う金融機関で、2006年にはノーベル平和賞を授与されています。担保のない貧困層への融資は、逆選択、モラルハザード、戦略的債務不履行の問題から、一般的には困難と考えられています。また、同国は農業立国であるにも関わらず洪水が多く、自然災害に起因する流動性制約に直面しやすい地域です。この様な環境にも関わらず、同行は97%の高い返済率*1を維持しています。

 

私がグラミン銀行でのインターンシップを志望した理由はふたつです。まず、上述の環境下での同行のリスク管理に興味を持ったことが挙げられます。前職では信用リスク管理が専門分野のひとつでしたが、同行が如何にして低い貸倒率を実現しているのか、研究対象としての興味がありました。次に、途上国で仕事・研究をしてみたかった事も志望動機のひとつです。バックパックが趣味で途上国各国を旅していましたが、もっと深いレベルで現地に関われる機会を探していました。

 

上記理由で選んだインターンシップですが、申し分なく満足のいくものとなりました。渡航前にグラミン銀行やマイクロクレジットに関する論文に幾つか目を通しましたが、実際に現場で得た一次情報に勝るものはありません。特に、流動性制約への対応について、複数の債務者へ対面でのインタビューができた事、その結果、渡航前は想定していなかった預金の重要な役割について回答を得た事、預金を効率的に促進させるためにグラミン銀行はALM的なリスク管理に反する行動をとり得る事とその原理を理解できた事等がハイライトです。

 

また、インターンシップでは一週間、支店があるダッカ郊外の村*2で生活をすることができます。その際に、グラミン銀行が融資を行っている物乞いの方*3に対してインタビューをした事が印象的でした。村のスラム街に入り、ハエが飛び交うバラック小屋の中で、推定80歳前後の物乞いにインタビューをする機会を得ました。私はソーシャルビジネスの観点から同行に興味をもった訳ではありませんが、貧困とは何かを直接見聞きする事ができました。これは旅行では決して得ることができない貴重な経験だと感じています。 

今回の経験を(やや強引に)IESEに関連付けますと、まず、渡航前にはメンターの教授*4に私のインターンシップのテーマについてアドバイスをもらいました。幸いにリスク管理を専門とする教授でしたので、学術的観点からもコメントを頂きました。また、二年生の選択科目にSocial Innovation & Social Enterpriseというソーシャルビジネスに関する授業、Organization Risk Managementというリスク管理に関する授業があり、今回のインターンシップと関連して受講を予定しています。さらに、現地で得た情報を基にケース(又は簡単な論文)の執筆を計画しており、教授に助言を求めている段階です。IESEでは教授との距離が想像以上に近く、本件に対しても形式張らずに相談をする事ができています。

 

最後になりますが、MBAにおけるインターンシップの目的は多々あろうかと思います。この点、私費学生の場合(私も私費です)は特に、就職活動を目的としたインターンシップが主流になることは否定できません。しかしながら、折角の機会を利用し、目下の就職を超えたところで、興味のある分野を追及する事もひとつの選択肢です。私の場合、プロフェッショナル、パーソナルの両面から「自分らしさ」を深める良い機会となりました。結果論ではありますが、足下の就職活動においてバングラディシュの話題は非常に受けが良く、自分を理解いただく好材料となっています。

 

以上

 

* リスク管理に関する専門的なコメントは全て私個人の意見です。

*1 2014年5月時点、返済率の算定方法について議論がありますが、同行の公表ベースの数値です。

http://www.grameen-info.org/index.php?option=com_content&task=view&id=453&Itemid=527

*2 グラミンとはベンガル語で「村」を意味し、支店は都市部には存在せず、融資対象者も村の在住者のみ。私はダッカからマイクロバスで8時間の村に滞在しました。

*3 ストラグルローンと呼ばれる物乞いを対象としたローン商品を提供。

*4 IESEでは各チームにメンターと呼ばれる教授がひとり付き、学生生活や就職活動の事を何でも気軽に相談することができます。