ケースコンペティション (1)

Class of 2015の大西です。昨年の話になりますが、ケースコンペティションに参加した経験を書かせて頂きます。ケースコンペティションとはどのようなものなのかイメージして頂けたらと思い、「私自身が何を学んだか?」だけを記すよりも、体験記形式で時系列的にご紹介させて頂ければと思います。冗長な文章となりますが、ご自身がケースコンペティションに参加されたらこうするな、ああするな、と想像しながらご一読頂けると幸いです。


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まずは簡単に「ケースコンペティション」を紹介させて下さい。

 

ケースコンペティションとはケースを用いて与えられた課題に対する解決策の戦略提言を行い、その優劣を競うチーム対抗型の大会です。IESE内には10以上もの参加可能なケースコンペティションがあり、各々が興味のあるテーマのコンペティションに自主的に参加し、IESE内で自由にチームを組成し、IESE内および他校のMBAプログラムの生徒とグローバルで競い合います。コンペティションのテーマは、企業の成長戦略、新規事業開発、マーケティング戦略、企業価値評価、ベンチャーキャピタル投資、ソーシャルビジネス等、多岐にわたります。


私はその中でも企業戦略が主題のRoland Berger社が主催するケースコンペティションに参加しました。幸運にも私のチームはIESE内の選考で優勝し、インターナショナルラウンドを経験することができました。

 

多様なバックグラウンド(出身の国や地域、職業や経験、専門知識等)を持つ学生とチームを組み、お互いの強みを活かして課題に取り組む過程は、自分の力を試すとともに多くの学びを得る機会となりました。


 

IESE内コンペティションまでの流れ

 

① チームメイキング

 

1学期の終わりになると、IESE内では色々なケースコンペティションが動きだします。どのケースコンペティションもまずはチームメイキングからスタートします。私も「ビジネススクールに来たからにはひとつぐらいケースコンペティションに参加したいなぁ」と思っていました。が、参加する為には自分からチームアップしていかなければなりません。典型的な奥手の日本人の私には最初の関門でした。外人達が積極的にチームアップしていく中、「誰か声をかけてくれないか、俺数字には自信あるよ」アピールをして待ちますが、当然声はかかりません。草食系男子には外国は日本以上に厳しいです。

 

そんな中、以前から「いつか一緒に何かしてみたい」と興味のあったコンサル出身のF君(日本人)のチームに一人空きがあることを発見。日本人2人になることを嫌がるF君に、思い切ってお願いしてチームに参加させてもらいました。F君(日本人、コンサル)、J君(韓国人、金融)、M君(米国人、弁護士)、私(日本人、金融)の4人でチームアップしました。M君とはチームアップまで面識がなかったことから、最初の自己紹介時に「こいつはどういう奴だ」とお互いに興味津々。こうした普段はclassも違い交流することも少ない学生とチームアップできるのもケースコンペティションの魅力の一つです。


 

② ケース配布から準備

 

ケースはプレゼンテーションの2週間ほど前に全チームに対して一斉に配布されます。

 

ケースの配布は2月の初旬でしたが、この時期はIESEのMBAカリキュラムの中で最も忙しい時期とされており(MBA授業のチーム課題の提出期限、就職活動が山場を迎えます)、多くのチームが脱落していきました。

 

私たちのチームでもM君が突然「俺3週間後に結婚式あるから準備で忙しいんだよね」と言い出したり、J君が「就活でロンドンに行かないと行けないし、そんな張り切って準備しなくても大丈夫だよ〜」と軽い感じで言ってきたりする始末。そこでF君と話あい、最初にしっかりとスケジュール設定を行いました。バックグラウンドも優先順位も違う者同士がチームアップする中で、しっかりとタイムスケジュールと優先順位を確認し、設定できたことでプレゼンまで辿りつくことができました。

 

また親睦の「すきやき」をF君の家で行うことにもしました。そこでお互いのバックグラウンドやケースコンペティションにかける思いをしっかりと話し合い、マリオカートで親睦を深め、皆が「このチームで何かを成し遂げたい!」という思いになれたことも高いモチベーションが維持できた秘訣でした。いつもフワフワしているように見えるJ君の意外な熱い思いなども聞く事ができました。文化や優先順位づけの基準が違っても、必ず共通点や妥協点が見いだせるものだと再確認できるとともに、unofficialな場での交流がいかにofficialな環境下で力を発揮するのか確認できた経験となりました。

 

ケースの内容は「スペインの公的保険の支出をいかにして削減するか」という内容でした。「スペインの保険制度?知らないし、興味ないよ」と最初は思いましたが、調べて行くと日本の保険制度について考えることが多く、また、チームメイトの国の保険制度を共有し合う中で、各国ごとの制度の基となる考え方の違いや、政府の狙いが分かり非常に面白いテーマでした。特に国民皆保険が当たり前でない米国出身のM君の考え方は典型的日本人の考え方の私とは大きく異なっており、世界の価値観の多様さを痛感させられました。

 

また課題解決へのアプローチの仕方もチームメンバー毎で異なっており、学びとなりました。金融バックグランドの私はディテールを積み上げて問題に対してアプローチするタイプ、コンサル出身のF君は大きな軸を作って問題にアプローチするタイプ。米国人かつ法律家のM君は非常に論理的、J君は抜群のセンスで意見してくるタイプ。せっかちな日本人2人に対して、のんびりどっしり構えるJ君、M君。それぞれのアプローチの仕方が大きく異なっており、意見のぶつかり合いが何度もありました。バックグラウンドの違うもの同士が、喧嘩寸前の喧々諤々の議論をしたことでしか掴めない、相手のアプローチの長所、自分自身の短所に気づく事ができたと思います。


 

③ プレゼンテーション

 

ケース配布から2週間後、いよいよプレゼンテーションです。審査委員はRoland Bergerのマネージャークラスの社員が2人、IESEの講師が1人、IESEコンサルティングクラブの学生1名でした。持ち時間は10分。パートを4つにわけて4人が約2分ずつプレゼンするようにしました。英語が不得意な中でもしっかりと主張が伝わる様に、メッセージはクリアで完結にするように心がけました。プレゼンまでの準備の過程では、色々なディテールまで話し合ったのですが、プレゼンの際には大きな主張の流れを提示するだけにとどめ、ディテールが必要とあればQ&Aの中で提示しようという作戦にしました。プレゼン前には英語ネイティブのM君が何度もフィードバックをくれたおかげで、自信を持ってプレゼンすることができました。

 

質疑応答ではさすがはコンサルタント、論理が弱いところに具体例をあげながら質問してきます。私のところに一つ厳しい質問が飛んできましたが、真正面から質問を捉え過ぎなかなかうまく回答できていないところを、コンサル出身のF君が質問の矛先をかわしながら「自分たちはこう考えた」と話し助けてくれました。終わった後、F君に感謝すると「コンサルは考えてないと思われたら負け。相手の質問に直接答えていなくても、回答は考えたことに無理矢理落とし込むと、なんとなく納得してもらえるものだよ。」と。「コンサルタントは凄いけど、恐ろしいな。」と感じた瞬間でした。

 

その後一時間ほど待ち時間があり審査結果の発表。発表後、一チーム毎にフィードバックが10分ほどありました。私たちのチームの良かった点はメッセージがシンプルでクリアであり、それを補強するデータ、論点をしっかりと準備していたこと。悪かった点はプレゼンテーションの各種技術を指摘してもらいました。

優勝の結果を受けて、飲み会を開催したいところでしたが、翌週から中間テストの為、その日は簡単に食堂で乾杯して解散。皆でインターナショナルラウンドでの健闘を誓おうとしたその時、M君が「インターナショナルランドの期間中に、自分の結婚式がある。」と発表。イングリッシュネイティブかつ論理的なM君がいなくて大丈夫かと落ち込む中、J君が「M君の結婚を祝うべく、残りの3人が踏ん張って優勝しよう」とらしからぬ熱い一言。M君も「このチームで優勝したいから、結婚式の準備抜けて最大限のことはする」と宣言。「この年になっても、こんな熱血ドラマ風の青春ができるなんて、本当にケースコンペティションに参加して良かった」と心から思えた瞬間でした。



次回でインターナショナルラウンドについてご紹介します。こちら