タイ/ベンチャー企業でのインターンシップ

Class of 2016Tです。ヨーロッパでは数少ない2年制のプログラムを持つIESEでは、夏季休暇中にインターンシップに取り組むことができる点が一つの特色になっていると思います。一年間、一緒に学んだクラスメートたちは、自らの関心や目指すキャリアの方向性に応じて、世界の様々な場所でインターンシップに励みます。インターンシップに従事しない学生たちも、起業の準備を進めたり、教授のケース執筆を手伝ったりして長期休暇を過ごすことが一般的です。そんな中、私はインターンシップ先として、バンコク拠点のAlpha Founders(「当社」)というインキュベーターを選びました。

スタートアップの世界でドイツのRocket Internet(注)という会社をご存知の方も多いと思います。当社は、このRocket InternetOBであるドイツ人が立ち上げた会社で、タイのe-コマース分野において、Rocket Internetのビジネスモデルを援用した起業及び投資活動を行っています。(私が金融業界出身であるため、)投資業務に携われる機会があったこと、学校の授業を通じてスタートアップの世界に興味を持ったこと、もとより東南アジアで働いてみたかったことなどが相まって、こちらでお世話になることにしました。

 

当社は現在、設立5年目に入ったところで、ポートフォリオを構成する複数社の育成に注力しています。正社員、インターンともアジア、ヨーロッパ各国から集ってきており、IESEに負けるとも劣らないダイバーシティ溢れる職場環境となっていました。私の業務内容はと言うと、主にはポートフォリオの一社であるネット損保代理店に張り付き、同社のオペレーション改善や新規事業開発に取り組むというものでした。但し、ベンチャー企業ならではの柔軟性ゆえ、これ以外にも上司に当たる当社パートナーのリクエストに応じて、東南アジアのe-コマース企業に関する包括的なリサーチを行ったり、とある第三国での法人登記に向けたサポートを行ったりもしました。私の希望を踏まえて、いくつか投資または協業候補先企業の評価にも携わっています。働いた期間は一月半ほどでしたが、自由でフラットな働きやすい職場で、これまでのキャリアでは取り組んだことのなかったような性質の業務にもチャレンジすることができ、貴重な経験と視座を得ることができたと思っています。

 

最も面白かったのは、新規事業開発関連のアサインメントでした。実は、私が常駐していたネット損保代理店は、ちょうどとある地場の大手交通インフラ運営企業に業務多角化の一環として買収されることが決まったばかりでした。マネジメントや従業員はそのまま買収元企業に引き継がれる予定でしたが、これから事業の規模・中身とも大幅に拡充される見込みであるため、人事スタッフやシステムエンジニアが日々、急ピックで採用活動やデータベース、ウェブページの刷新作業を進めていました。そのようなダイナミズムを体感すること自体が貴重だと感じましたし、買収元企業との協業スキームの検討、新規顧客の開拓といった業務に関与する中で、ベンチャー企業における営業のあり方や意思決定のプロセスを垣間見ることができたのもためになりました。また、同ネット損保代理店でのコールセンターオペレーション改善プロジェクトでは、MBAでの学びを端的に生かすことができました。オペレーションの流れを可視化することから始まり、社内データベースより取得したセールスに関する各種データを用いて、統計的手法を用いながらボトルネックの特定や業務フローの最適化を検討する過程では、Operation Managementの類似ケースをしばしば参照することになりました。

 

長い夏季休暇中、どのような成長機会に身を投じるのかは人それぞれだと思いますが、どのようなフィールドであれ、学生という立場で新たなチャレンジができるという意味でまたとない機会となると思います。2年制のプログラムを選択される場合には、ぜひこの期間を有効活用するよう検討されてみてはいかがでしょうか。

 

(注)ドイツ・ベルリン拠点のインキュベーター。2007年設立。先進国で実証済みの有望ネットビジネスを主に途上国に横展開することで急成長を果たした。